私は今日も鏡の前に座っています。制服に身を包んだ姿を映す鏡には、まだあどけなさの残る16歳の顔。でも、これから始まるメイクタイムで、きっと違う私に出会えるはず。そう、メイクって本当に不思議な魔法なんです。
朝の光が差し込む窓辺で、いつものように化粧ポーチを開きます。中には、この春から少しずつ集めてきたコスメたち。最初は何を使えばいいのか分からなくて、友達に教えてもらいながら選んだものばかり。今では私の大切な相棒です。
「おはよう」と小さく呟きながら、まずは化粧水をコットンに含ませます。優しく肌を整えていくと、今日も頑張ろうという気持ちが湧いてきます。化粧水の後は、みずみずしい乳液で保湿。カサカサした肌がしっとりとしてきて、これだけでも気分が上がります。
次は日焼け止め。紫外線対策は大切だと、美容部員さんに教えてもらいました。軽いテクスチャーの日焼け止めを顔全体にのばしていきます。これが私のナチュラルメイクの土台になるんです。
さて、いよいよベースメイクの始まりです。BBクリームを手の甲に取り、指先で優しく馴染ませていきます。厚塗りは絶対NGです。学校でも浮かない、自然な仕上がりを心がけています。気になる赤みや色むらを隠しながら、まるで素肌のような仕上がりを目指します。
続いてはコンシーラー。寝不足で気になる目の下のクマや、気になる小さなニキビ跡にそっとタッチ。ポンポンと指でたたくように馴染ませると、コンプレックスがふわっと消えていきます。
パウダーで軽く押さえたら、いよいよチークの出番。可愛すぎない、でも健康的な血色感を出すために、ピンクベージュのチークを頬の高い位置にふんわりとのせます。笑顔を作りながらブラシを動かすと、自然な血色感が生まれます。
アイメイクは特にこだわります。まずはアイブロウ。眉毛は顔の印象を大きく左右するから、形はしっかりと整えつつ、眉マスカラで自然な立体感を。ブラウンのアイシャドウは、二重幅に沿って優しくぼかすだけ。きらきら光るラメは使いません。あくまでもナチュラルに、でも目元には深みを出したいんです。
マスカラは上まつげだけに。下まつげまでするとちょっと派手になってしまうので、上まつげだけを優しくカールさせます。まつ毛が長くなりすぎない程度に、優しく重ねていきます。
最後はリップ。ティントタイプのリップを使って、唇の真ん中から外に向かってぽんぽんと叩くようにつけていきます。グロスは学校では控えめにして、ほんのり血色の良い唇に仕上げます。
鏡を見つめる私の顔が、少しずつ生き生きとしてきました。派手すぎない、でも確実に私らしさが輝くナチュラルメイク。これなら先生にも注意されることはないはず。
メイクって不思議です。道具は同じでも、その日の気分や季節によって、仕上がりが変わってきます。でも、それが楽しいんです。今日の私は、どんな表情を見せてくれるのかな。
ふと時計を見ると、もうすぐ通学時間。最後にもう一度全体のバランスをチェックします。髪をさっと整え、制服の襟元を直して。「よし、完璧!」
玄関に向かう足取りが自然と軽くなります。今日も一日、笑顔で過ごせそう。メイクをすることで、私の中の「可能性」が少しずつ広がっていく気がします。
友達と会うのが楽しみ。「今日のメイク、いつもより可愛いね」って言われるかな。でも一番うれしいのは、鏡を見て自分で「いいね!」って思える瞬間。
ナチュラルメイクは、決して派手ではありません。でも、それは私たち女子高生にとって、自分らしさを表現する大切な手段。毎日の小さな努力が、確実に私を成長させてくれているんです。
メイクは私にとって、単なる化粧品を顔に乗せる作業ではありません。新しい一日への準備であり、自分自身との大切な約束の時間。そして何より、もっと輝きたいという気持ちを叶えてくれる、特別な魔法なのです。
さあ、今日も元気に、笑顔で頑張ろう。そう心に誓いながら、私は家を出ます。春の柔らかな風が頬をなでていきます。今日という一日が、きっと素敵な思い出になるはず。そんな予感とともに、私の学校生活がまた始まっていくのです。
組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:上辻 敏之


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