夕暮れ時のオフィス。デスクに向かいながら、今夜のパーティーのことを考えていた私の鼻先に、同僚の清々しい柑橘系の香りが漂ってきました。「その香り、素敵ね」と声をかけると、彼女は嬉しそうに微笑んで「TPOに合わせて香りを選んでいるの」と教えてくれました。
その会話をきっかけに、私も香りについて真剣に考えるようになりました。これまで何となく気に入った香水を使っていましたが、場面や季節によって香りを選ぶという発想がなかったのです。今夜のパーティーに向けて、理想の香りを見つけたい－そんな思いで、lunch timeに立ち寄った百貨店の化粧品売り場で、素敵な出会いがありました。
ベテランの販売員さんが、やさしく微笑みながら声をかけてくれました。「香りは、その人の第二の個性になりますよ」という言葉に、心が躍りました。そこから始まった香りの世界への旅は、私にとって新しい扉を開くものでした。
まず教えていただいたのは、香りには大きく分けて7つの系統があるということ。フローラル（花の香り）、シトラス（柑橘系）、フゼア（新鮮な草木の香り）、オリエンタル（官能的な東洋の香り）、ウッディ（森林の香り）、シプレ（苔や樹脂の香り）、そしてアロマティック（ハーブの香り）です。
「パーティーシーンでは、周りの方に不快感を与えない程度の控えめな香りを選ぶことが大切です」と販売員さん。特に室内での集まりでは、強すぎる香りは避けた方が無難だそうです。その言葉を聞いて、以前参加した食事会で隣席の方の強烈な香水の香りが気になった経験を思い出しました。
そして、もうひとつ重要なアドバイスをいただきました。「香りには、その人の印象を決定づける力があります」。例えば、フローラル系の香りは女性らしさや優美さを演出し、シトラス系は清潔感や爽やかさを表現できます。オリエンタル系は大人の魅力や官能的な印象を与えることができるのだとか。
私の場合、今夜のパーティーは会社の重要なクライアントを招いての正式な夕食会。そこで選んだのは、ジャスミンをベースにした上品なフローラル系の香水でした。トップノートにベルガモットを配合することで、初めの印象を爽やかにし、ミドルノートでジャスミンの優美な香りが広がり、ラストはバニラの優しい甘さが残る絶妙なバランスの香りです。
香水の付け方にも、実はコツがあるそうです。手首や首筋などの脈打つところにつけると、体温で香りが自然に広がります。ただし、つけすぎは禁物。「腕を伸ばして握手をしたときに、かすかに香る程度が理想的です」という言葉が印象的でした。
また、季節によっても香りの選び方は変わってきます。暑い夏は爽やかなシトラス系が好まれ、秋から冬にかけては温かみのあるオリエンタルやウッディ系が心地よく感じられるそうです。春には新鮮なフローラル系が人気になるなど、季節との調和も大切なポイントです。
そして忘れてはいけないのが、自分らしさを表現できる香りを選ぶこと。他人に勧められたからという理由だけで選ぶのではなく、自分が心地よく感じる香りを見つけることが大切です。それは、まさに第二の個性を見つける旅のようです。
パーティー当日、私は新しく選んだ香水を身につけて会場に向かいました。控えめながら品のある香りは、自分に自信を与えてくれました。クライアントの方々との会話も自然と弾み、「素敵な香りですね」という言葉もいただきました。
この経験を通じて、香りには不思議な力があることを実感しました。それは単なる匂いではなく、その人の魅力を引き出し、周囲との関係をより豊かにする力を持っているのです。TPOに合わせた香りの選択は、まるでファッションやメイクのように、自己表現の重要な要素となりうるのだと気づきました。
それ以来、私は様々なシーンで香りを楽しむようになりました。オフィスでは清潔感のあるシトラス系、休日のカフェではカジュアルなフルーティーな香り、重要な商談では信頼感を演出するウッディ系など、状況に応じて香りをチョイスすることが新しい楽しみになっています。
香りとの出会いは、私の生活に新しい彩りを添えてくれました。それは単なるおしゃれのアイテムではなく、自分らしさを表現する大切なツールとなっています。あなたも、香りという魔法で、毎日をより特別なものにしてみませんか？
きっと、あなたにぴったりの香りが、どこかで待っているはずです。それを見つける旅は、きっと素敵な発見に満ちていることでしょう。香りは、私たちの人生をより豊かに、より魅力的にしてくれる、そんな素晴らしいパートナーなのです。
役職名：上辻 敏之
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