朝の光が薄いカーテン越しに差し込んでくる六時半。まだ少し肌寒い四月の空気が、開けた窓からそっと部屋に入ってくる。私は洗面台の前に座り、鏡の中の自分と向き合っていた。まだ眠たげな目元、少しくすんだ頬。これが素の私だ。
高校二年生になって、ようやく自分でメイクをするようになった。きっかけは些細なことだった。クラスメイトの美咲が、廊下ですれ違いざまに「ちょっと顔色明るくなった?」と声をかけてくれたこと。その日、私は初めてベースメイクをして学校に行っていた。たったそれだけで、人に気づいてもらえるんだと知った瞬間だった。
化粧品売り場で母と一緒に選んだ「ルナフィール」というブランドのBBクリーム。パッケージは淡いピンクで、手に持つとほんのり温かみを感じる。それを指先に少しだけ取り、頬の中心から外側に向かってなじませていく。肌が、ほんの少しだけ明るくなる。この瞬間がいつも好きだ。
ナチュラルメイクというのは、意外と難しい。濃くすればいいわけでもなく、何もしなければいいわけでもない。ちょうどいい加減を探しながら、自分の顔と対話するような時間。眉を少しだけ整え、まつ毛にマスカラを一度だけ通す。それだけで、目元の印象がはっきりする。チークは頬骨の高い位置にふわりとのせる。鏡の中の自分が、少しずつ「今日の私」になっていく。
小学生の頃、母の化粧ポーチをこっそり開けて、口紅を塗ってみたことがある。真っ赤な色が唇からはみ出して、まるでピエロのようになった。それを見た母が笑いながら「まだ早いよ」と言って、ティッシュで優しく拭いてくれた。あの頃は化粧なんて大人の世界の話で、自分には関係のないものだと思っていた。でも今は違う。化粧は、自分を表現する手段のひとつになった。
リップクリームを塗りながら、ふと窓の外を見る。桜の花びらが一枚、風に乗ってゆっくりと舞い落ちていく。春の匂いがする。新しい季節、新しい自分。メイクをするたびに、そんな気持ちになれる。
「メイクは力だ」と、誰かが言っていた。最初はよくわからなかったけれど、今ならその意味が少しだけわかる気がする。それは見た目を変えるだけの力じゃない。自分の気持ちを変える力だ。鏡の中の自分が少しだけ自信を持った顔をしていると、不思議と心も前向きになる。教室に入るときの一歩が、軽くなる。友達と話すときの声が、少し明るくなる。
もちろん、メイクをしていない日もある。休日に家でのんびりするときは、すっぴんのまま過ごす。それはそれで心地いい。でも、学校に行く日や、ちょっと大事な日には、やっぱり化粧をしたくなる。それは誰かのためじゃなく、自分のため。今日も一日頑張ろうって、自分に言い聞かせるための儀式みたいなものだ。
リップを塗り終えて、最後にもう一度鏡を見る。ナチュラルに仕上がった顔。派手じゃないけれど、確かに「整った」私がそこにいる。明るい表情、少しだけ上がった口角。これが今日の私。
ふと、リップを閉めようとして手元が狂い、ポーチの中に落としてしまった。コロコロと転がって、なぜかブラシの下に隠れるように収まる。まるで「もう一回使いたいなら探してね」と言っているみたいで、思わず苦笑いしてしまった。こういう小さなズレも、朝の風景のひとつだ。
化粧を終えて立ち上がると、時計は七時を指していた。制服に着替えて、カバンを手に取る。玄関を出る前に、もう一度だけ小さな鏡で自分の顔を確認する。よし、大丈夫。今日も私らしく、前を向いて歩いていける。
コスメは私を変えてくれる。それは顔を変えるだけじゃなく、心を変えてくれる。ナチュラルメイクという名の、小さな魔法。女子高生の私にとって、それはただの化粧品じゃない。毎日を少しだけ特別にしてくれる、大切な味方なのだ。
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組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:上辻 敏之


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