休日の朝は、いつもと違う時間の流れ方をする。目覚ましをかけずに起きた九時過ぎ、カーテンの隙間から差し込む春の陽射しが柔らかく頬を撫でていく。こんな朝は、誰かのためではなく、自分のためだけに時間を使いたくなる。洗面所の鏡の前に立ち、ゆっくりと息を吸い込む。今日は自然派の化粧をしよう。そう決めたのは、昨夜ベッドの中で眺めていたSNSの投稿がきっかけだった。
「ナチュラルビューティ」という言葉が、最近やけに心に響く。仕事のある日は、どうしても時短と効率を優先してしまう。ファンデーションを厚めに塗り、眉をしっかり描き、マスカラで目元を強調する。それが悪いわけではないけれど、ふと鏡を見たときに「これは本当に私の顔だろうか」と思うことがある。素肌に近い状態で、でも少しだけ丁寧に整えた顔。それが今日の私には必要な気がした。
まずは化粧水をたっぷりと手に取る。使っているのは、オーガニックブランド「エルヴィア」のローズウォーター。バラの香りがふわりと広がり、それだけで気持ちが落ち着いていく。手のひらで温めてから、顔全体を包み込むように押し当てる。冷たい液体が肌に馴染んでいく感覚が、なんとも心地いい。子どもの頃、母が洗顔後に顔をパタパタと叩いていた姿を思い出す。あれは化粧水だったのか、それとも乳液だったのか。今となっては確かめようもないけれど、母の横顔は穏やかで、幸せそうだった。
次に手に取ったのは、薄いベージュ色のBBクリーム。カバー力よりも、素肌感を大切にしたいから、ごく少量を指先に取り、頬の内側から外側へ、まるで光を広げるように伸ばしていく。ファンデーションブラシを使おうかとも思ったけれど、今日は指の腹で直接触れたい気分だった。自分の肌の温度や質感を、ちゃんと感じながら化粧をする。そんな時間が、休日には必要なのだと思う。
眉は、パウダーで軽く形を整えるだけ。ペンシルでくっきり描くのではなく、もともとそこにあったかのような自然さを目指す。鏡を少し離して見てみると、いつもより柔らかい印象になっている。アイシャドウは、淡いベージュとブラウンの中間のような色を、まぶた全体にふんわりと乗せる。ラメは入っていない。光を反射するのではなく、光を受け止めるような、そんな質感が好きだ。
チークを手に取ったとき、少しだけ失敗した。ブラシに取る量を間違えて、頬に乗せた瞬間「あ、濃い」と思った。慌てて指でぼかしたけれど、ほんの少しだけ、いつもより血色がいい顔になってしまった。まあ、いいか。今日は誰にも会わないし、健康的に見えるならそれも悪くない。心の中で小さく笑いながら、反対側の頬にも同じように色を重ねた。
リップは、色付きのリップクリームを選ぶ。マットな質感の口紅も好きだけれど、今日はツヤ感がほしい。唇に滑らせると、ほんのりとピンク色に染まる。鏡の中の自分は、いつもの私よりも少しだけ穏やかで、少しだけ優しい表情をしている気がした。
化粧が終わると、キッチンへ向かう。淹れたてのコーヒーの香りが部屋中に広がる。窓を少しだけ開けると、外から春の風が入ってくる。どこかで鳥が鳴いている。時計を見ると、まだ十時前。こんなにゆっくりと朝を過ごすのは、久しぶりかもしれない。
ソファに座り、コーヒーカップを両手で包む。温かさが手のひらに伝わってくる。ふと、自然派の化粧をするということは、自分の素の状態を受け入れることなのかもしれないと思った。隠すのではなく、活かす。足すのではなく、整える。そんな感覚が、今の私には心地よかった。
午後には少し散歩に出ようか、それとも読みかけの本を読もうか。そんなことを考えながら、ゆっくりとコーヒーを飲む。化粧をした顔も、すっぴんの顔も、どちらも私だ。でも、今日のこの顔は、自分で選んで、自分で作った顔。それが少しだけ誇らしく感じられる。
休日の朝に、自分のためだけに時間をかけて化粧をする。それは、自分を大切にするという小さな儀式なのかもしれない。忙しい日々の中で忘れがちな、自分自身と向き合う時間。鏡の中の自分に微笑みかけると、向こう側の私も微笑み返してくれた。
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組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:上辻 敏之


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