朝の光が差し込む部屋で、一人の女子高生が鏡の前に座っている。彼女の名前は美咲。いつもより少しだけ早起きして、今日も自分と向き合う時間を作った。机の上には、お気に入りのコスメたちが並んでいる。派手なパッケージのものもあれば、シンプルで洗練されたデザインのものもある。どれも彼女が選び抜いた、大切な相棒たちだ。
美咲がメイクに興味を持ち始めたのは、高校に入学してからだった。中学時代は部活動に明け暮れ、メイクなんて縁遠いものだと思っていた。でも、高校生になって周りの友達が少しずつ変わっていく様子を見て、自分も何か変わりたいと思うようになった。最初は雑誌を眺めるだけだったが、次第にコスメショップに足を運ぶようになり、試供品を試したり、店員さんに相談したりするうちに、メイクの奥深さに魅了されていった。
彼女が目指すのは、派手なメイクではない。ナチュラルメイクこそが、美咲の理想だった。自分の顔立ちを生かしながら、ほんの少しだけ明るい表情を引き出す。それが彼女のメイクの哲学だ。厚塗りをして別人のようになるのではなく、自分らしさを残しながら、内側から輝くような仕上がりを目指している。
まず手に取るのは、化粧下地。肌の凹凸を整え、ファンデーションのノリを良くするための大切な工程だ。美咲は丁寧に顔全体に伸ばしていく。次に、薄くファンデーションを重ねる。女子高生の肌はまだまだ若々しいから、厚塗りは必要ない。むしろ、素肌感を残すことが大切だと彼女は知っている。気になる部分だけコンシーラーで軽くカバーして、透明感のある肌を作り上げる。
眉毛は顔の印象を大きく左右する重要なパーツだ。美咲は自分の眉の形を生かしながら、ほんの少しだけ整える。太すぎず細すぎず、自然な流れを意識する。眉マスカラで色を整えれば、柔らかい印象になる。これもナチュラルメイクのポイントだ。
そしてアイメイク。美咲が最も時間をかける部分だ。彼女はブラウン系のアイシャドウを愛用している。肌なじみが良く、明るい表情を作るのに最適だからだ。まぶた全体に薄く広げ、目のキワに少しだけ濃いめの色を入れる。グラデーションを作ることで、目元に自然な立体感が生まれる。アイラインは細く、まつ毛の隙間を埋めるように引く。がっつり引くのではなく、あくまでも自然に。マスカラは一度塗り。ダマにならないように、丁寧にコームでとかす。
チークは頬の高い位置にふんわりと。ピンク系の色を選ぶことで、健康的で明るい表情が生まれる。女子高生らしいフレッシュさを演出するには、チークの色選びと入れ方が重要だ。美咲は笑顔を作りながら、一番高くなる部分に色をのせていく。
最後はリップ。美咲は色付きのリップクリームを愛用している。保湿もできて、ほんのり色づく優れものだ。グロスを重ねれば、ツヤ感もプラスされる。唇がふっくらと見え、全体の印象がぐっと明るくなる。
鏡を見つめる美咲の顔には、自然な笑みが浮かんでいる。メイクを始める前と比べて、確かに何かが変わった。でもそれは、別人になったわけではない。自分が少しだけ自信を持てるようになった、そんな変化だ。
美咲にとって、メイクは単なる美容行為ではない。それは自分と向き合う時間であり、自分を大切にする行為だ。コスメひとつひとつに込められた思いや、それを使う自分の気持ち。そのすべてが、彼女を作り上げている。
学校に着くと、友達が声をかけてくる。「今日もかわいいね」「なんか明るい感じするね」。そんな言葉が、美咲の心を温かくする。でも、一番嬉しいのは、自分自身が鏡を見たときに感じる満足感だ。
ナチュラルメイクは、簡単そうに見えて実は奥が深い。濃すぎても薄すぎてもダメ。自分の顔を知り、自分に似合う色を見つけ、丁寧に仕上げる。その過程すべてが、美咲にとっての学びであり、成長だった。
放課後、美咲はよくコスメショップに立ち寄る。新しいアイテムをチェックしたり、季節限定の色を試したり。コスメは彼女にとって、ファッションの一部であり、自己表現のツールだ。限られたお小遣いの中で、本当に欲しいものを選ぶ。その選択もまた、楽しい時間だ。
女子高生という時期は、自分探しの真っ最中だ。将来のことや、自分がどんな人間になりたいか、まだはっきりとは見えていない。でも、毎朝鏡の前でコスメと向き合う時間が、美咲に小さな自信を与えてくれる。メイクは力。それは外見を変えるだけでなく、内面にも働きかける不思議な力を持っている。
明るい表情で一日を始められること。それが美咲にとって、メイクをする一番の理由だ。ナチュラルメイクで引き出される自分らしさ。それは誰かの真似ではなく、自分だけのもの。コスメという小さな魔法が、一人の女子高生に勇気と自信を与え続けている。
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組織名：株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名：上辻 敏之
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