朝6時に起きてメイクをするなんて、半年前の私には考えられなかった。
高校2年の秋まで、私は化粧品売り場を素通りする人間だった。母が使ってるファンデーションの匂いが苦手で、あの甘ったるくて粉っぽい香りを嗅ぐたびに「大人になるってこういうことなのかな」って思ってた。でも違ったんだよね。メイクって、大人になるための儀式じゃなくて、もっと別の何かだった。
きっかけは些細なこと。クラスの友達が「最近なんか暗くない?」って言ってきたとき、私は鏡を見た。確かに顔色が悪い。というか、表情が死んでる。それまで気づかなかったけど、私はずっと下を向いて生きてた気がする。
その日の放課後、吸い込まれるようにドラッグストアのコスメコーナーに立ち寄った。テスターを触りながら、何をどう使えばいいのか全然わからなくて。結局、パッケージが可愛かったリップクリームだけ買って帰った。たった500円の、ほんのり色づくやつ。家に帰って鏡の前で塗ってみたら、唇の血色が少しだけ良くなって、なんだか嬉しくなった。
それから毎朝、そのリップを塗るようになった。たったそれだけなのに、電車の窓に映る自分の顔が前より嫌いじゃなくなった。不思議なもんだよね。
冬休みに入って、バイト代で初めてちゃんとしたコスメを買いに行った。「ルナティアベール」っていうブランドのBBクリームと、ブラウンのアイブロウペンシル。店員さんに「ナチュラルメイクがしたいんです」って伝えたら、すごく丁寧に教えてくれた。厚塗りじゃなくて、素肌っぽく見えるやつ。眉毛の描き方も、自分の毛の流れに沿って少しずつ足すだけでいいって。
最初は全然うまくいかなかった。眉毛が左右非対称になるし、BBクリームの色が首と合わなくて浮いてるし。でも毎朝5分、10分と鏡の前に立つ時間が増えていった。そうしているうちに、自分の顔をちゃんと見るようになった。この目の形、この鼻の高さ、この輪郭。全部、私のもの。
そういえば中学のとき、美術の先生が「自画像を描くのは自分と向き合う作業だ」って言ってたのを思い出す。当時は意味がわからなかったけど、今ならわかる気がする。メイクも同じなんだ。
3学期が始まって学校に行ったら、何人かに「なんか変わった?」って言われた。「明るくなったね」とか「雰囲気変わったね」とか。正直、メイク自体はほとんど誰も気づいてなかったと思う。ナチュラルだから。でも私の中では確実に何かが変わってた。
朝、鏡の前に立つ時間が好きになった。ファンデーションのスポンジで肌を整えて、眉を描いて、チークをほんの少し。最後にリップを塗る。その一連の動作が、まるで自分に「今日も頑張ろう」って声をかけてるみたいで。
メイクは力だと思う。誰かを騙すためのものじゃなくて、自分を励ますためのもの。朝の5分が、1日の自信になる。顔色が明るくなれば、表情も自然と明るくなる。表情が変われば、人との接し方も変わる。そういう連鎖。
今でも完璧なメイクなんてできない。たまに眉毛が変な角度になるし、急いでるときはリップだけで終わることもある。それでもいいと思ってる。大事なのは、鏡の中の自分と毎朝ちゃんと目を合わせること。
化粧品売り場の匂いも、今はそんなに嫌いじゃない。むしろあの空間にいると、なんだかワクワクする。新しいコスメを試すたびに、新しい自分に会える気がして。
メイクを始めてから、私は少しだけ前を向いて歩けるようになった。たぶん、それだけ。
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組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:上辻 敏之

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