鏡の前に座ると、いつもより自分の顔が他人に見える。
パーティーの招待状が届いたのは先週の木曜日だった。差出人は大学時代の友人で、久しぶりに連絡が来たと思ったら「ちょっとしたパーティーやるから来ない?」って。ちょっとしたパーティー、という言葉の曖昧さに戸惑いながらも、私は「行く」と返事をしてしまった。そこから始まったのが、この鏡の前での長い時間。
化粧ポーチから取り出したアイシャドウパレットは、去年のクリスマスに自分へのご褒美として買ったやつ。ブランド名は「エトワール・ドゥ・ソワレ」っていう、いかにもフランスっぽい響きに惹かれて選んだんだけど、結局普段使いする勇気がなくて、ずっと引き出しの奥で眠ってた。今日がその初陣。ブラシを手に取って、一番左の深いブロンズ色をまぶたに滑らせる。粉の質感が思ったより柔らかくて、指先に伝わる感触がなんだか心地いい。
誰に会えるんだろう、なんて考えながら筆を動かしてると、自然と期待が膨らんでくる。新しい出会いがあるかもしれない。あるいは昔の知り合いと再会して、あの頃とは違う自分を見せられるかもしれない。
リップを選ぶ段階になって、私は少し迷った。普段使ってる控えめなベージュピンクにするか、それとも思い切って赤にするか。鏡の中の自分と目が合う。どっちの私で行きたい? 答えは出ないまま、結局両方をポーチに入れることにした。現地で決めればいい。
そういえば中学生の頃、初めて買った口紅のことを思い出した。母親に内緒でドラッグストアで買った安物で、色は確かオレンジ寄りの赤だった。家に帰ってこっそり鏡の前で塗ってみたら、あまりにも浮いてて笑っちゃったんだよね。顔だけ妙に大人びて見えて、でも目元はまだ子供のままで。あの頃の私に今の自分を見せたら、なんて言うだろう。「ちゃんと化粧できるようになったね」って褒めてくれるかな。それとも「まだ迷ってるの?」って呆れられるか。
窓の外はもう夕方の気配で、部屋に差し込む光がオレンジ色に変わってきてる。パーティーの開始時刻は19時。あと2時間ちょっと。時間はあるようでない。
チークを頬に乗せながら、ふと気づく。私、誰のために化粧してるんだろう。パーティーで会う人たち? それとも、まだ見ぬ誰か? もしかしたら、鏡の中の自分自身のためかもしれない。この瞬間、変身していく自分を眺めるのが、実は一番楽しいのかも。
マスカラを塗る手が少し震える。期待と不安が入り混じってる証拠。まつ毛が一本一本長くなっていくのを見ながら、私は深呼吸をひとつ。大丈夫、きっと楽しい夜になる。
コスメの蓋を閉めて、最後に鏡を見る。
仕上がった顔は、いつもの私とは少し違う。でもまったくの別人でもない。その中間にいる、今夜だけの私。この顔でどんな言葉を交わすんだろう。どんな笑顔を見せるんだろう。どんな出会いが待ってるんだろう。
答えは、行ってみなきゃわからない。
鏡の前を離れて、選んだ服を手に取る。部屋にはまだコスメの粉っぽい匂いが漂ってて、それが妙に甘く感じられる。今夜の私は、この匂いとともに出かけていく。期待を胸に、少しの不安を隠しながら。
#曜日コスメ
#今日のメイク
#メイクのある暮らし
#コスメ好きさんと繋がりたい
#毎日メイク
#気分で選ぶコスメ
#週末メイク
#デパコスとプチプラ
#コスメレビュー
#美容好きと繋がりたい
#日刊ブログメーカー
組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:上辻 敏之

コメント