私は今日も鏡の前に座っています。まだ朝の7時。制服に着替えたばかりの私の顔には、まだ何も色が乗っていません。でも、これから始まる小さな魔法の時間に、胸が高鳴るんです。
「おはよう、今日も可愛くなろうね」
そう言いながら、愛用しているスキンケア用品を手に取ります。高校2年生になってから、私のメイクへの意識は大きく変わりました。1年生の頃は化粧品の存在すら気にしていなかったのに、クラスメイトの影響で少しずつ興味を持ち始めたんです。
最初は不安でした。「メイクって難しそう」「失敗したら恥ずかしい」そんな気持ちでいっぱいでした。でも、今ではナチュラルメイクが私の朝の日課になっています。
まずは化粧水でお肌を整えます。優しくハンドプレスするように、柔らかな手つきで馴染ませていきます。次は乳液。これも丁寧に。基礎化粧はメイクの土台になるから、特に気を使います。
日焼け止めを塗り終えたら、いよいよメイクの開始です。BBクリームを手の甲に出して、指先で温めてから顔全体にのせていきます。ナチュラルメイクの基本は、素肌感を残すこと。厚塗りは絶対NGです。
「あ、シミが隠れた!」
鏡を覗き込むと、肌がワントーン明るくなっているのが分かります。コンシーラーで気になる部分を隠したら、パウダーで軽く押さえます。これで化粧崩れ防止もバッチリ。
次はアイメイク。これが一番好きな工程かもしれません。アイブロウパウダーで眉毛を優しく描き、自然な立体感を出します。「眉毛は顔の印象を決める」というクラスメイトの言葉を思い出しながら、慎重に形を整えていきます。
「今日はピンクブラウンにしようかな」
アイシャドウパレットから、明るい色味を選びます。目元は華やかに見せたいけれど、派手になりすぎないように。上まぶたに薄くのせて、下まぶたには極細のラインを引きます。
マスカラは、まつ毛を根元からしっかりと持ち上げるように。ビューラーで癖付けしたまつ毛に、優しくブラシを通していきます。目を開けた時の印象が、たった数分で大きく変わるんです。
チークは、笑顔の時に上がる頬の部分に。ピンク系のパウダーを、ふんわりと馴染ませます。「笑顔が素敵だね」って言われるのが、密かな自慢なんです。
最後はリップ。今日は淡いピーチ色のグロスを選びました。唇の形に沿って丁寧に。艶やかな仕上がりに、思わず微笑んでしまいます。
「よし、完成!」
鏡に映る私は、15分前とは少し違います。派手な変身ではありません。でも確実に、私らしい可愛らしさが加わっています。
ナチュラルメイクを始めてから、不思議と自信が持てるようになりました。周りからも「明るくなったね」「表情が柔らかくなった」と言われます。化粧品の力を借りているのは確かですが、それ以上に大切なのは、自分を大切にする気持ちかもしれません。
メイクは決して誰かに見せるためだけのものじゃない。毎朝の小さな幸せの時間であり、自分自身への投資なんです。
教室に入ると、いつもの仲間たちが笑顔で迎えてくれます。「今日のリップの色、可愛いね!」「私も同じの持ってるよ!」メイクの話で盛り上がるのも、女子高生ならではの楽しみ。
放課後、友達とコスメショップに寄り道するのも日課になりました。新作コスメをチェックしたり、お気に入りのアイテムを紹介し合ったり。メイクを通じて、友達との絆も深まっている気がします。
時には失敗することもあります。アイラインが左右非対称になったり、チークの色が濃すぎたり。でも、そんな失敗も含めて、私のメイク上達への道のりです。
母は最初、高校生がメイクすることに少し心配そうでした。でも今では、「あなたらしい自然な可愛さが出てきたわね」と認めてくれています。時には一緒にコスメ選びを楽しむことも。
ナチュラルメイクは、その日の気分や季節によって少しずつ変化させます。春は桜色を意識したピンク系、夏は涼しげなアクアブルー、秋は温かみのあるブラウン系、冬は上品なパール系。そんな風に、季節の移ろいも楽しめるんです。
毎日のメイクタイムは、私にとって大切な自分磨きの時間。鏡の中の私に「今日も頑張ろうね」と語りかけながら、新しい一日への期待を膨らませています。
化粧品の力を借りて、少しずつ大人の女性への一歩を踏み出している。そんな実感が、毎日の私を支えてくれています。これからも、自分らしい美しさを追求していきたいと思います。そして何より、メイクを通じて見つけた自信と笑顔を、大切に育んでいきたいんです。
役職名:上辻 敏之
コメント