五月の空というのは、どうしてこんなに青いのだろう。
待ち合わせは午後一時、緑ヶ丘公園の西口の前。少し早めに着いたわたしは、噴水のそばのベンチに腰を下ろして、太陽がレンガ広場に描く光の模様をぼんやりと眺めていた。木漏れ日が揺れるたびに、地面の上でまるで水面みたいに光がゆらゆらと動く。風が通るたびに、新緑の少し青くさい香りが鼻先をかすめる。これだけで、もう十分に来てよかったと思えてしまうのだから、公園というのは不思議な場所だ。
ミコとサオリが笑いながら走ってくる姿が見えたのは、そこから五分後のことだった。「ごめん遅れた!」とミコが言いながら手を振って、サオリはそのうしろで肩で息をしている。二人とも、薄いリネンのシャツに日焼け止めをばっちり塗った腕が白く光っている。「今日ちゃんと日焼け止め塗ってきた?」とサオリが開口一番に聞いてきた。コスメ好きの彼女らしい第一声だ。わたしは「塗ったよ」と答えながら、実は家を出る直前に玄関で慌てて塗ったことは黙っておいた。
三人でレジャーシートを広げて、持ち寄ったものを並べる。ミコが買ってきたのは、架空のドリンクブランド「ルミエール・ブルー」の炭酸フルーツウォーター。ほんのり桃の香りがして、口に含むとシュワッとした刺激のあとに甘さがじわりと広がる。「これ最近めちゃくちゃ好きなんだよね」とミコが言いながら、わたしのカップに注いでくれる。その仕草が、なんだかお姉さんみたいで少し微笑ましかった。
遊ぶ、というのは子どもだけの特権じゃないと、こういう日に思う。
小学生のころ、わたしはよく近所の公園で夕暮れまでかけっこをしていた。膝をすりむいて泣きながら帰って、母に怒られた記憶がある。あのころは「遊ぶこと」が生活のすべてで、疲れを知らなかった。大人になってからは、どこかで「遊び」に対して申し訳なさみたいなものを感じるようになった。でも今日みたいな日に外へ出ると、あのころの感覚がふっと戻ってくる気がする。
太陽はすでに空の真ん中あたりにあって、シートの上にいると背中がじんわりと温かい。サオリが「ちょっとこれ見て」と言いながらポーチを取り出して、新しく買ったコスメを並べはじめた。ツヤ感のあるリップ、繊細なラメが入ったハイライター。「公園で塗ってみようよ」と彼女が言って、三人でコンパクトの鏡を覗き込む。太陽の光の下で見るコスメの色は、室内で見るよりもずっと鮮やかで、なんだか特別な気持ちになった。
風が少し強く吹いて、サオリのシートの端がめくれあがった。慌てて押さえようとしたミコが、持っていたカップをわずかに傾けてしまい、炭酸水が少しこぼれた。「あ!」と三人同時に声を上げて、次の瞬間にはなぜか全員笑っていた。たいしたことじゃないのに、こういう小さな出来事が妙におかしくて、お腹の底から笑いがこみあげてくる。
芝生の上では子どもたちが走り回っていて、遠くのほうでは犬を連れた老夫婦がゆっくり歩いている。公園というのは、いろんな人の時間が重なっている場所だ。誰かにとってはリハビリの場所で、誰かにとっては恋人と過ごす場所で、わたしたちにとっては今日、大切な友人と遊ぶための場所。
日が少し傾いてきたころ、ミコがうとうとしながら「もう少しだけいようよ」とつぶやいた。サオリはリップを塗り直しながら、うんうんと頷いている。わたしも、もう少しだけ、と思った。太陽がやわらかくなった光を芝生に落として、風がまた緑の香りを運んでくる。
こういう午後が、ちゃんと記憶に残ればいい。
#曜日コスメ
#今日のメイク
#メイクのある暮らし
#コスメ好きさんと繋がりたい
#毎日メイク
#気分で選ぶコスメ
#週末メイク
#デパコスとプチプラ
#コスメレビュー
#美容好きと繋がりたい
#日刊ブログメーカー
組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:上辻 敏之

コメント