今朝は6時に起きた。いつもより1時間早い。
洗面所の蛍光灯が妙に白くて、鏡に映る自分の顔がやけに心もとなく見える。今日は例の会議がある。部長と先方の役員が同席するやつ。プレゼン資料は完璧に仕上げたつもりだけど、問題は私の見た目だ。正直、普段はリップクリームとパウダーくらいしか使わない人間なんだけど、今日ばかりはそうもいかない。
ポーチの中身を全部洗面台に広げてみる。アイシャドウパレットが3つ、リップが5本、ファンデーションが2種類。どれも半年以上前に買ったものばかりで、使用期限とか大丈夫なんだろうか。まあいいや。ベースメイクから始めようと思って、化粧下地を手に取る。冷たい。この季節、チューブから出したばかりのクリームって指先がひんやりして、なんだか目が覚める感じがする。
顔全体に伸ばしながら考えるのは、凛とした印象ってどうやって作るんだっけ、ということ。雑誌で読んだ気がする。眉をきちんと描く、リップは落ち着いた色を選ぶ、チークは控えめに。理屈はわかるんだけど、実際やってみるとなんか違う。鏡の中の自分は相変わらず頼りない顔をしている。
ファンデーションをスポンジでぽんぽん叩き込んでいたら、去年の春のことを思い出した。初めて大きなプロジェクトを任されて、緊張のあまり化粧が濃くなりすぎて、同僚に「歌舞伎役者みたい」って言われたやつ。あれは恥ずかしかったな。それ以来、薄めを心がけてるんだけど、薄すぎても存在感がなくなる気がして、このバランスが本当に難しい。
アイシャドウはブラウン系を選んだ。ベージュとブラウンのグラデーション。無難すぎるかもしれないけど、失敗はしない色だと思う。ブラシで瞼に色をのせていくと、少しずつ顔に陰影が生まれてくる。不思議なもので、目元に影ができるだけで、なんとなく意志が強そうに見えてくる。錯覚なんだろうけど。
アイラインを引く手が震える。これが一番苦手。ちょっとでも手元が狂うと、左右非対称になって全部やり直しになる。息を止めて、慎重に。右目はうまくいった。左目も…よし。今日は調子がいい。マスカラは2度塗り。まつ毛が上を向くと、視界が開ける感じがして気分が上がる。
眉毛を整えながら、ふと時計を見ると7時15分。あと45分で家を出なきゃいけない。焦る。チークはピンクベージュのやつ。頬骨の高いところに、軽く。濃くなりすぎないように。鏡から少し離れて全体を確認する。悪くない、かも。
リップ選びで迷う。いつも使ってるコーラルピンクは明るすぎる気がする。かといって真っ赤なやつは攻撃的すぎる。結局、ローズ系のマットなやつを選んだ。「エレガントモーヴ」って名前がついてる。塗ってみると、思ったより落ち着いた色で安心した。唇の輪郭をティッシュで軽く押さえて、余分な油分を取る。
鏡の中の自分を見つめる。普段の私とは違う誰かがそこにいる。
髪も整えて、スーツを着る。ネイビーのジャケットに白いブラウス。靴はヒールが5センチのパンプス。全身鏡の前に立つと、ようやく「会議に出る人間」っぽく見えてきた。化粧って、鎧みたいなものなのかもしれない。素顔の自分を守るための。
玄関を出る直前、もう一度だけ鏡を見る。口紅が少し歯についてないか確認。大丈夫。バッグの中にリップとパウダーを入れて、深呼吸。
電車の中で、窓ガラスに映る自分の顔をちらちら確認してしまう癖がある。化粧が崩れてないか、眉毛が変じゃないか。神経質すぎるとは思うんだけど、やめられない。隣に座ってるOLさんも、スマホの画面を鏡代わりにして髪を直してる。みんな同じことしてるんだな。
オフィスに着いたのは8時40分。会議は10時から。まだ時間がある。デスクでパソコンを開いて、資料の最終チェック。でも頭の中は会議のことでいっぱいで、あんまり集中できない。トイレに行って、もう一度化粧を確認。リップが少し薄くなってたから塗り直す。
会議室に入る瞬間が一番緊張する。ドアを開けて、笑顔で挨拶。声が震えないように気をつける。今日の私は、コスメで武装した別の誰か。
会議が終わったら、たぶん疲れ果てて、帰りの電車で化粧なんてどうでもよくなってると思う。でも今は、このメイクが私を支えてくれてる…気がする、だけかもしれないけど。
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組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:上辻 敏之


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