五月の午後二時、空の青さが少し白っぽく溶けていく時間帯に、私たちは「ソラニワ公園」の芝生の上にいた。持ってきたレジャーシートは思ったより小さくて、四人で座ると誰かの肩が必ずどこかに触れる。それが、なんだかよかった。
太陽はまだ高く、木陰の外に出ると肌がじんわりと温まる。風は思ったより強くて、友人のりかちゃんが広げようとしたペーパーナプキンが三枚まとめて飛んでいった。彼女は「あっ」と声を上げながら立ち上がり、そのまま五メートルほど走ってようやく一枚だけ回収してきた。残りの二枚は、遠くのベンチの方へ旅立っていった。笑いをこらえるのが、わりと大変だった。
遊ぶということを、大人になってからしばらく忘れていたように思う。子どもの頃、夕方になって親に呼ばれるまで公園から帰らなかった。砂の感触、鉄棒の冷たさ、汗が目に入る感じ。あの頃の「遊ぶ」は、時間の感覚ごと消えてしまうような没入だった。それがいつの間にか、休日の「遊び」はスケジュール管理されたものになっていた。
でも、この日の公園は違った。
芝生の上でバドミントンをした。ラケットを振るたびに草の匂いが立ち上がって、シャトルが太陽の光に透けてオレンジ色に見えた瞬間があった。それがなんとなく綺麗で、思わず「あ」と言ったら、相手に点を取られた。どうでもいい。
午後三時を過ぎると、日差しの角度が変わって影が長くなり始める。木の葉がさらさらと音を立てて、日陰の温度がはっきりと違うのがわかった。みんなで輪になって座り直して、誰かがバッグから「ルミノワ」のサンスクリーンを取り出した。SPF50、ラベンダーの香りがほのかにする、最近流行っているコスメブランドのもの。日焼け止めを塗り直すという行為が、こんなに丁寧な時間になるとは思っていなかった。順番に手に出してもらいながら、「これ、テクスチャーが軽いよね」「公園で塗ると香りが違う気がする」なんて話す。コスメが外の空気の中で生きているみたいだった。
外で遊ぶとき、肌のケアはどうしても後回しになりがちだ。でも太陽の下で長時間過ごすなら、コスメ選びは思っているより大切になる。軽いテクスチャーで汗をかいても崩れにくいもの、香りが自然の中で浮かないもの。ルミノワのような、アウトドアシーンを意識したブランドが今年になって注目されているのは、こういう「公園で遊ぶ午後」が増えているからかもしれない。
風が一瞬止んで、静かになった。遠くで子どもが笑う声がした。芝生の上に寝転んだとき、空の広さが改めて目に入った。太陽は少し傾いて、光が斜めになっている。友人のひとりが目を細めながら空を見上げて、何も言わなかった。それで十分だった。
帰り際、シートを畳みながら「また来ようね」と誰かが言った。特別な計画があるわけじゃない。ただ、芝生と太陽と風と、少し飛んでいったナプキンと。それだけで、この午後は確かに「遊んだ」と言えるものになっていた。
公園で遊ぶということは、時間を取り戻すことに似ている。スマートフォンの画面から顔を上げて、光の中に体ごと入っていくこと。コスメを丁寧に塗り直しながら、今日の肌の状態に気づくこと。そういう小さな行為が、日常を少しだけ豊かにしていく。五月の午後、ソラニワ公園の芝生の上で、私はそれをちゃんと思い出した。
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組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:上辻 敏之

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