目が覚めたのは、まだ空が薄紫色をしていた四月の朝だった。カーテンの隙間から差し込む光が、化粧台の上にぼんやりと落ちていて、その白さがやけに静かだった。今日は重要な会議がある。それだけで、いつもとは違う緊張感が、胸のあたりにひっそりと居座っていた。
コーヒーメーカーが低く唸る音を聞きながら、鏡の前に座る。自分の顔と、しばらく向き合う。昨夜少し眠りが浅かったせいか、目の下にうっすらと疲れが滲んでいる。でも、それでいい。今日のための化粧は、疲れを隠すためではなく、自分を整えるためにある。そう思うようになったのは、いつからだろう。
下地を手のひらに伸ばしながら、ふと思い出す。子どもの頃、母の化粧台の前でこっそりと口紅を唇に乗せてみたことがあった。似合うはずもなかったのに、なぜかその瞬間だけ、自分が少し大人になったような気がして、胸がどきどきした。あの感覚は今も、化粧をするたびにどこかに残っている。仕事をする自分を、自分で作り上げていく感覚。それはあの頃の、小さなときめきと、案外つながっているのかもしれない。
ファンデーションを丁寧にのばす。使っているのは「ルミエール・ド・ソワ」のリキッドタイプで、肌にのせると少しひんやりとして、それがまた気持ちいい。薄く、でも確実に、素肌の上に何かが重なっていく。オフィスの蛍光灯の下でも浮かない色を選ぶのが、長年の習慣だ。
アイシャドウはブラウン系で落ち着かせる。目元をぼかしながら、今日のプレゼンの流れを頭の中でなぞる。うまくいくかどうかはわからない。でも、ちゃんと準備した。それだけは確かだ。チークをのせるとき、ブラシを一度落としてしまい、粉がふわっと宙に舞った。思わず笑ってしまった。凛とした朝に、ブラシひとつが台無しにしようとしている。
リップを選ぶ。今日は迷わず、深みのあるローズベージュにした。主張しすぎず、でも存在感がある。会議室で言葉を発するたびに、この色が自分の声に少し力を添えてくれる気がする。根拠はないけれど、そういう気持ちが仕事の場では意外と大切だと思っている。
オフィスという場所は今、「パフォーマンスを高める場」へと変わりつつある
と言われる。それは空間だけの話ではなく、そこに臨む自分自身の在り方にも通じる。化粧をすることは、ただ見た目を整えることではない。鏡の前で自分と静かに向き合い、今日という一日に向けて気持ちを立て直す、小さな儀式だ。
仕上げに、ほんの少しハイライトを鼻筋に入れる。窓から差し込む朝の光が、そこだけきらりと反射した。コーヒーの香りが部屋に満ちていて、外では鳥が一声鳴いた。準備が、整った。
凛とする、というのは強張ることではないと思う。自分の芯をちゃんと持って、それでいて柔らかくいられること。今日の仕事に向かうための化粧は、そのための小さな道具だ。コスメのひとつひとつに、自分を整える力がある。それを知っているだけで、会議室への足取りが、少しだけ軽くなる。
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組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:上辻 敏之

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