窓の外がやわらかく白んでいた、四月の午後のことだった。
カーテン越しに差し込む光が、フローリングの上でうっすらと伸びて、部屋全体がどこかぼんやりと春色に染まっている。そういう日は、なぜかコスメポーチを開けたくなる。引き出しの奥にしまっていたネイルポリッシュを取り出して、ふたを開けた瞬間のあの甘い溶剤の香り。ちょっと刺激的で、でもどこか懐かしい。子どもの頃、母の化粧台の前でこっそりネイルを触ろうとして、「まだ早い」と笑われたことを、なぜか今日ふと思い出した。
2026年の春ネイルのキーワードは、透明感・ほんのりツヤ・控えめアート。
そう知ってから、ずっと気になっていたカラーがある。「ルミエールブラン」という架空のコスメブランドで出会った、チョークピンクのポリッシュだ。
白を混ぜたような優しい色合いのチョークピンクや、透明感あふれるラベンダー
が今年の春を彩ると知ってから、このボトルをずっと机の端に飾っていた。飾るだけで、使えていなかった。
今日はちがう。なんだか朝から元気で、ワクワクが止まらない。
ベースコートを塗り始めると、刷毛が爪の上をすべる感触がある。ひんやりとした液体が薄く広がって、少しずつ乾いていく。その待ち時間がまた好きで、指を広げたまま、ぼんやりと窓の外を見る。桜はもうほとんど散っていて、かわりに若葉がやわらかく揺れていた。
2026年春のネイルトレンドに共通するのは、透明感のあるカラーリングと、作り込みすぎない抜け感。
それがわかってから、なんだか肩の力が抜けた気がする。完璧に仕上げなくていい。
むしろ、少しムラがあるくらいが「こなれ感」を演出できる
らしい。これは不器用な自分にとって、ほとんど福音に近い言葉だった。
チョークピンクを塗り始める。一度目は薄く、二度目で色をのせる。爪の先がだんだんと春色に変わっていくのを見ていると、不思議と静かな心が戻ってくる。慌ただしかった今週のことも、うまくいかなかった仕事のことも、少しずつ遠くなっていく感じがした。ネイルを塗るという行為には、そういう力があると思う。自分の手だけを見ていられる、数分間の孤独。それがいい。
今年は透明感のある「水光マグネット」や、粘土ジェルを使った立体的なお花
なんかも流行っているらしいけれど、今日の気分はもっとシンプルでいい。ワンカラーで十分だ。薬指だけ、少し気まぐれにラベンダーを重ねてみる。ピンクとラベンダーが隣り合うと、思いのほかかわいかった。
乾かしながら、ふと手を見て気づいた。小指だけ、微妙にはみ出している。コットンで修正しようとして、逆に隣の指まで少し拭いてしまった。やり直し。……まあ、これもご愛嬌だ、と心の中で小さくツッコんだ。
仕上げにトップコートを重ねると、ツヤが出て指先が急に凛とする。
Pantoneが2026年のカラー・オブ・ザ・イヤーに選んだ「Cloud Dancer」は、「静寂」「新しい始まり」「心の平穏」を象徴する色
だという。チョークピンクはそれに近い空気を持っている気がした。静かな心との出会い、みたいな。
ネイルを塗り終えた手を、光にかざしてみる。午後の窓から差し込む柔らかな逆光の中で、指先がほんのり輝いた。これだけのことなのに、なんだかとても満たされた気持ちになった。コスメの力って、こういうところにある。
春の指先は、自分へのちいさな贈りものだ。
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組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:上辻 敏之

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