太陽の下で遊ぶ、それだけでいい。公園コスメと友人と、忘れられないあの午後のこと

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空が妙に青かった。雲ひとつない、というより、雲が逃げ出したみたいな青さで、10月の午後にしてはずいぶん眩しかった。待ち合わせ場所の「ハルノ公園」に着いたとき、友人のミキはすでにベンチに腰かけて、ぼんやり空を見上げていた。

「遅い」と言われるかと思ったら、「あ、来た」とだけ言って、また空を見た。

そのゆったりした反応が、なんだか今日という日の温度みたいだった。急がなくていい。それだけで、肩の力がすとんと抜けた。

芝生の上には、すでにレジャーシートが広げられていた。ミキが持ってきたのは、薄いミント色のシートで、その上には紙袋がひとつ。中身はあとで見せてもらうことになっていた。「新しいコスメ買ったんだよね」と事前にLINEが来ていて、それだけで私はちょっとわくわくしていた。

太陽は高く、けれど夏のような鋭さはなく、ただ広く、やわらかく降り注いでいた。芝生の緑が光を受けてきらきらして見えた。風が吹くたびに、落ち葉がくるくると転がってくる。乾いた草と土の混じった香りが、鼻の奥にやさしく届いた。

しばらく二人でぼんやりしていると、もう一人の友人、サヤカが大きな保冷バッグを抱えてやってきた。「飲み物持ってきた」と言いながら取り出したのは、クラフトボトルに入った「ヒナタブレンド」という名のハーブティーだった。地元の小さなお茶屋さんが作っているオリジナルブレンドで、カモミールとレモングラスが混ざったような香りが、蓋を開けた瞬間にふわっと広がった。温かくて、ほんの少し甘くて、公園の空気にやけに似合った。

「コスメ見せてよ」と私が言うと、ミキが紙袋をごそごそと漁り始めた。出てきたのは、「ルナフルール」というブランドのチークとリップのセットだった。淡いテラコッタ色のチークで、秋の公園にいるみたいな色、とミキは言った。実際、その色はまさに今日の光の色に似ていた。太陽の角度がつくる、柔らかいオレンジの影の色。

ミキがチークを頬に乗せながら「どう?」と聞いてきた。サヤカが「似合う」と即答して、私も「うん、すごく」と言いかけたとき、ミキがくしゃみをした。盛大に。ブラシが揺れて、チークがほんの少し鼻の頭にもついてしまった。三人で笑った。ミキは「やだ見ないで」と言いながら笑っていた。公園で、太陽の下で、そういうことが起きる。それが遊ぶということだと思う。

子どもの頃、遊ぶというのはもっと単純なことだった。砂場で山を作って、崩して、また作る。それだけで一時間が過ぎた。何かを達成しようとしていたわけじゃなくて、ただそこにいて、手を動かして、笑っていた。大人になってからの遊びは、どこかに目的を求めてしまいがちだけれど、今日みたいな午後は、その感覚に近い気がした。

ハルノ公園の木々は、秋の色に少しずつ変わりはじめていた。まだ緑が多いけれど、端っこから黄色や赤が滲んでいる。芝生の上に三人で寝転んで、空を見上げると、葉っぱの隙間から太陽の光がこぼれてきた。目を細めると、光がいくつもの粒に見えた。

「また来ようね」とサヤカが言った。特別な計画があるわけじゃなく、ただそう言いたかっただけみたいな声だった。

公園で遊ぶ、というとシンプルに聞こえるかもしれない。でも、こういう午後のことを、私はずっと覚えていると思う。ミキの鼻についたチークのことも、ヒナタブレンドの香りも、太陽がつくった光の粒も。遊ぶとは、きっとそういうことだ。記憶になる時間を、誰かと一緒に過ごすこと。
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組織名:株式会社スタジオくまかけ / 執筆者名:上辻 敏之

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